校長メッセージ

2020年4月30日 (木)

【第20回】 「休校延長に寄せて」~朝陽は必ずまた昇る!~

4月25日は創立記念日でした。創立者に思いをはせることができたでしょうか?
皆さんは森村学園の校訓「正直・親切・勤勉」を日々実践してくれていると信じて止みません。残念ながら、中1生全員がこの校訓にピント来るわけではないと思っています。ここでぜひとも、ホームページを通じて、この校訓の意味を確認して欲しいと思います。

新型コロナウィルス感染症拡大の中、医療の最前線で働いてくださっている方々、私たちのライフラインを支えてくださっている方々、そして、経済や文化を停滞させないための活動をされているすべての方々に感謝できる心を皆さんは持っている思います。現在、世界中でこの輪が広がっていること、「人間はただものではない」ということを私は改めて実感しています。

そんな方々の中には、生徒の皆さんのご家族もいらっしゃいます。社会を守ることと、家族の健康を守ることの両方に気を配って下さっている家族の方々に、皆さんも感謝を忘れないでください。そして何より、皆さんが毎日を健康で元気に過ごしてください。

さて、本日4月30日、学園本部から「5月31日までの休校延長」のお知らせがありました。

休校延長のため、皆さんと直接会うことが先延ばしとなり、とても残念です。4月中旬から急ピッチで始まったOffice 365 Teamsによる課題や授業動画の配信、ホームルームを継続します。今しばらくはTeams内で学校生活を続けましょう。

インターネットの世界では、プロスポーツ選手やダンサーの方々等の自宅でのトレーニングの様子を、動画で見る機会が増えてきました。どんな状況であっても、今ある環境の中で、いつでも本来の場所に戻れるよう日々の鍛錬を怠らない姿を示してくださっています。これは、自身や後輩たちのため、またやがてこの道に続く子供たちのためでもあるでしょう。

それぞれの自宅から楽器を合奏したり歌ったりして、世界の人を楽しませている音楽家の方々もたくさんおられます。

世界が大変なことになっている一方で、みんなのことを考えて、自分のできることをする。そんなすばらしい人たちは世界にたくさんいるのだと感じさせられます。

さて、最近では、「三月のライオン」の作者、マンガ家の羽海野(うみの)チカさんの「せっけんでよ~く てをあらおう!!」というポスターが話題になりました。このポスター誕生の経緯が、とても興味深いものでしたので、皆さんにもご紹介したいと思います。

20年以上前に「面白い文章を書いていた人」として記憶に残っていたブログ主の方が、現在新型コロナウィルス感染症の最前線で働いている医師の方であることを、羽海野さんは最近知ったそうです。「その方に何かして欲しいことは?と訊きたいけれど」とTwitterでつぶやいたところ、なんとそのブログ主ご本人である忽那(くつな)賢志さんに届き、翌日返信が来たのです。忽那さんは、国立国際医療研究センターの医師として、日々感染症と闘っていらっしゃいました。

そして忽那さんが羽海野さんにリクエストしたのは、「三月のライオン」の登場人物の3姉妹が手洗いをするイラストでした。お願いから完成までにかかったのはなんと2日間というスピードで、4月20日にはイラストが完成しました。

現在、このイラストを使ったポスターは、早くも医療センター等、あちこちに掲示されています。また、声優さんによって音声もつけられ、英語版、中国語版、インドネシア語版といった各国語版も続々誕生しているそうです。

他にも、このポスターを二次使用可とするために、またポスターがすぐにダウンロードできるよう動かれた方々もいるでしょう。このポスターを世界中に貼ってもらえるよう、セリフの翻訳などのお手伝いをされた方々もいます。ここにも、みんなのことを考えて、自分ができることをする人たちがたくさんいたのです。

このポスターは、下記の白泉社のサイトからダウンロードができます。
「営利目的以外の二次使用はご自由にしていただけます。私たちの生活を支えていただいている場所への掲示や、周りの方々への配布、お子様へ手洗いをお教えいただく際の手助けに、などご活用ください。」と記載されていますので、生徒の皆さんへの啓蒙という意味で、こちらにもPDF画像を掲載させていただきます。

https://3lion.younganimal.com/poster.html

GWに入りました。皆さんの「踏ん張り連携」が試される時です。これが今回の
休校延長で終わるかどうかの試金石になります。

何度も申し上げているので、皆さんも耳にタコができているかもしれませんが、これだけは言い続けます。


1. Stay Home! 不要不急の外出を避けること 「3密禁止」
2.外出時にはマスクをつけ、帰宅後は手洗い、うがいをかかさないこと
3.日々の生活は同じでも、コロナ感染が始まる以前と今の世界の激変を自覚すること

コロナショックは必ず終わりが来ます。

「どんなに真っ暗闇で深い夜でも、朝陽は必ずまた昇る!」

Yjimageimb42o4x写真出典 https://search.yahoo.co.jp/image/search;_ylt=A2RCAw4er6peZlkA_ymU3uV7?p=sunrise&aq=-1&oq=&ei=UTF-8#mode%3Ddetail%26index%3D13%26st%3D394

皆さんはそのとき、どんな自分でありたいでしょうか。それをイメージして、時には行動を起こして、毎日を過ごしてください。そして、時には、みんなのために、あるいは家族のためにできることを考えて欲しいです。

中等部・高等部 校長 江川昭夫

2020年4月23日 (木)

【第19回】 「創立記念日に寄せて」

森村学園の創立記念日が近づきました。
4月25日がその日です。今年は創立110周年となる節目の年でもあります。

明治43年の4月25日に森村市左衛門翁の屋敷の一角に開園した小さな幼稚園、そして同じ年にできた小さな小学校が森村学園の始まりでした。

森村学園本部のサイトには森村学園の歴史が紹介されていますから、この機会に是非とも読んで欲しいと思います。新入生の中には初めての話という人もいるでしょう。

第二次世界大戦、戦後の混乱期、そして高輪から現在の長津田への移転。森村学園の110年の中に、たくさんの出来事がありました。

歴代の理事長や教職員方々が園児・児童・生徒たちの学びを続けるためにたいへんな尽力をされ、様々な手法を模索して行動した結果、現在の森村学園があるのだということを、皆さんにもぜひ知っていただきたいと思います。

https://www.morimura.ac.jp/group/introduction/history/

前回の『校長メッセージ【第18回】 「この間、今、皆さんに伝えたいこと(その7)」~必要なのは、「冷静さ・感謝・寛容」~』の中でサッカーの三浦知良さんが発信したメッセージを覚えていますか?

「自分たちを信じる。僕たちのモラル、秩序と連帯、日本のアイデンティティーで乗り切ってみせる。そんな見本を示せたらいいね」

https://bunshun.jp/articles/-/37184

この日本のアイデンティティーこそが、校訓「正直・親切・勤勉」につながるものと信じてやみません。

さて、生徒の皆さんにはすでに通知いたしましたが、これからMicrosoft社のTeamsというアプリを使って、連絡や課題提出、小テストなどを行い、皆さんの学習をサポートしていきます。

もちろん、学校の役割は学習サポートだけではありません。家庭にいる皆さんの様子が見えにくい状態で、先生方も試行錯誤しつつ準備をし、実行し、こうしたほうがいい、ああしたほうがいいという工夫や改善をし、日々前進しています。皆さんも、一緒に授業を創るという意識で日々臨んでください。これこそ、建学の精神である「獨立自営」そのものだと私は思います。

何があっても学び続けてください。

「森村未来志向型教育」×「“Future Ready Skill”(未来志向型の社会人素養)」は学び続ける力を推進します。そして、課題解決力の基礎となる「議論しあう力」、「共同しあう力」、「疑問を逃がさない力」、「創造性」、「好奇心」、「プログラミング的思考」が身につくものと信じています。

新型コロナウイルスの感染拡大に対し、全国に「緊急事態宣言」を発生し、実施期限は5月6日までとされています。継続されるか、どうかは、連休前には判断したい、と政府見解が出ているようです。

何度も言います。私たちにできることは、「自分が感染しないこと」「人に感染させないこと」の二つです。感染者が日々増大している現状を脱出するには、「人と人との接触を8割減らすこと」との見解が示されました。5月連休にこれが達成できないと感染が拡大すると言われています。そのために、「私たちがすべきこと」を再度ここでまとめておきます。

1. Stay Home! 不要不急以外の外出を避けること 「3密禁止」
2.外出時にはマスクをつけ、帰宅後は手洗い、うがいをかかさないこと
3.日々の生活は同じでも、コロナ感染が始まる以前と今の世界の激変を自覚すること

普通に、元気に、自分の大切な人である家族や親せきや友人とともに、生活していたあの頃を取り戻しましょう。

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中等部・高等部 校長 江川昭夫

2020年4月15日 (水)

【第18回】 「この間、今、皆さんに伝えたいこと(その7)」~必要なのは、「冷静さ・感謝・寛容」~

4月も半ばを過ぎました。現在は、教員も在宅勤務とし、オンラインで連絡を取り合い、Web会議機能を利用して仕事をしています。

クラスの朝礼で「おはようございます。」の挨拶から始まり、「さようなら。また明日、元気で会いましょう。」で終わる終礼、それがない学校は寂しいです。一日も早く、そんな日常が戻ってほしいと願っています。

新しいクラスが発表になりました。いつもなら、「どんな友達と一緒かな?」とワクワクする楽しい瞬間ですね。今回はそれを奪って、ごめんなさい。個人情報保護の観点から、オンラインでの全クラス発表は控えさせていただきました。

4月13日には、生徒の皆さんに学年ごとの「学年通信」を発信しました。それぞれの学年通信には、担任・副担任から皆さんに向けた言葉が掲載されています。例年であれば、皆さんの顔を直接見ながら笑顔で伝えるはずだった言葉の数々です。教室での一コマを想像しつつ読んでみてください。気持ちがより伝わることでしょう。

連絡ツールe-paを使用した学習課題等が配信されています。まもなくTeamsやForms(Microsoft office365)を利用したオンライン学習がスタートします。「あれやこれやあって、たいへんだ~。」の気持ちもよくわかります。しかし、まずは皆さんが試行錯誤の上で慣れて欲しいと思います。そして、許されることなら、ご家族の方やペットまでも巻き込んで、1つのディバイスを囲み、家族でわいわいがやがや…。そんなことを想像できたら、私は嬉しく微笑ましいと思います。

現段階では課題中心ですから「物足らない」と思うかもしれません。既習事項の確認、新たな知識の吸収、それらをないがしろにしてはいけません。それらをもとに、次の段階に進むことになります。

中高は6学年ありますから、学齢とそれぞれの発達段階に応じた学習サポートを行う必要があると考えています。森村学園は幼稚園、初等部、中等部高等部と最長で15年、次は12年、6年、というつながりのある教育が行われています。弟妹が在籍している設置校ごとで対応が異なっていると思われがちなところもあるような気がします。学齢が上るに従い、皆さんは思春期のトンネルを迎え、さらなる自立が求められていきます。校訓「正直・勤勉・親切」をいつも心に、建学の精神「独立自営」を目指したいのです。コロナショックの今こそ、創立者が遺してくださったこれらの言葉の実践は、最も大切なものと言えます。

試行錯誤しながら、学習サポートを作りあげています。皆さんのご自宅のハード面であるインターネット環境の違いも考慮しなくてはなりません。オンライン学習のいいところだけでなく、ハード面、ソフト面も含めて、不具合などが出てくることも大いに予想されます。

取るに足りないことばかりでの出発になります。最初はどんなに周到に準備をしていても、上手く進まないこともあるでしょう。完全を追求するのではなく、試行錯誤を共有していきたいと思います。生徒、保護者のみなさんと一緒に作り上げていくという心意気で取り組んでいきたいと思います。

長引く自宅待機による心身の不調も予想されます。そこで、「ほっとタイム:スクールカウンセラーからのおたより」を配布しました。休校中は電話でカウンセラーの先生と相談することができます。笑顔で暮らせていたとしても、どこか緊張があるものです。元気が出ないとか、心がふさぐといった気持が続いたら、積極的に利用してください。

森先生が「大阪府こころの健康総合センターによる4つのリラクゼーション法」を紹介してくださっています。ぜひ、参考にして下さい。

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/13282/00000000/relax.pdf

サッカーの三浦知良さんは『「新型コロナ」の日々「僕らは自分たちの力らを、もう少し信じていい」』と次のようにメッセージを発信しています。

「自分たちを信じる。僕たちのモラル、秩序と連帯、日本のアイデンティティーで乗り切ってみせる。そんな見本を示せたらいいね」

https://bunshun.jp/articles/-/37184

皆さんの尊敬するレジェンドたちも、今回の緊急事態宣言に関して様々な発言をされています。もし自分がその立場だったら、どんな発言をするだろうかと考えてみてもいいかもしれません。

今、校訓「正直・勤勉・親切」はもちろんのこと、私たちに必要なのは、「冷静さ・感謝・寛容」です。これが具体的にどういうことなのか?皆さんにもこの不測な期間に自ら考えて実践してもらいたいと思います。

本当に、本当に、不安な日々が続いています。決して、無理をしないように。そして、他人事ではなく自分事として、自分の大切な人である家族や親せきや友人とともに、できるところから始めていきましょう。

中等部・高等部 校長 江川昭夫

2020年4月 9日 (木)

【第17回】「この間、今、皆さんに伝えたいこと(その6)」~緊急事態宣言発出を受けて:心のケアの大切さを~

4月7日、安倍首相が新型コロナウイルスの感染拡大に対し、「緊急事態宣言」を行いました。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に、実施期間は7日から5月6日までとされ、これを受けて7都府県の知事が住民などに外出自粛などを求めています。

この日本における緊急事態宣言は、海外で行われているようなロックダウン(都市封鎖)ほどの強制力はありませんが、私たちはこれを厳粛に受け止め、対処すべきでしょう。

とにかく、私たちにできることは、「自分が感染しないこと」「人に感染させないこと」の二つです。今回、この感染者が日々増大している現状を1カ月で脱出するには、「人と人との接触を7割、8割減らすこと」との見解が示されました。そのために、「私たちがすべきこと」をここでまとめておきたいと思います。

.  Stay Home! 不要不急以外の外出を避けること
2. 外出時にはマスクをつけ、帰宅後は手洗い、うがいをかかさないこと
3. 3つの密(換気の悪い密閉区間、多くの人の密集する場所、近距離での密接した会話)を避けること 「3密禁止」
4. 信頼のおける正しい情報を受け取ること
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

5. 心の健康を保つこと
日本赤十字社「感染症流行期にこころの健康を保つために」シリーズの紹介

http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200327_006138.html

「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」

http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200326_006124.html

6. 感謝を忘れない
この状況の中、保護者の方々も毎日大変な思いをされているでしょう。また、たいへんなリスクのなかで医療に従事して下さっている方々への感謝も忘れてはなりません。

人生には、取り返しのつくことと、つかないことがあります。取り返しがつかないことの最たるものが「健康」です。皆さんは現在、これが何よりも最優先事項だと思ってください。生徒の皆さんも、保護者の皆さんも、森村学園での通常授業が受けられない不安が大きいかと思います。これは後から取り返しがつくことの一つと思って下さい。

私が生徒の皆さんに期待していることは、「規則正しい生活」をするということです。毎日の起床と就寝の時間は守り、起床したらきちんと着替えて自分自身と部屋を整えてください。可能でしたら散歩やジョギング、または屋内でダンスでもいいですから、毎日体を動かしてください。友だちと会えなくとも、電話で話すというような取り組みを積極的にしてください。「友だちがいて、本当に良かった。」と思える場面がきっとあります。身体と心の健康に留意して生活してください。

この期間中に、毎日継続する小さな目標を持つのも良いと思います。例えば、長い小説を読み切る、毎日腹筋をする、ペットの世話を引き受けるなどなどが考えられると思います。小さな目標は必ず見つかるはずです。

この間、小さなステップを作るのには絶好の時間を与えてもらったと思えます。生徒と教職員が並走して、「夢の実現は小さなステップの積み重ね」と背中を押す、森村学園中等部・高等部でありたいです。

さて、前回お知らせしましたとおり、森村学園はICTを利用した授業やホームルームを開始します。初めての試みで、手探りでのスタートではありますが、生徒の皆さんと先生方が協力し合って新しい授業を作るこの試みは、新しい森村学園の始まりと思っています。私達教職員が、反対に生徒の皆さんに教わることも多くなるのではないかと、嬉しい想像をしています。

「あの時は大変だったね。でもがんばってよかったね」と、後からみんなで笑いあえる日をイメージして、一緒に乗り切りましょう!

中等部・高等部 校長 江川昭夫

2020年4月 8日 (水)

【第16回】 ~今年度入学式当日にお話しする予定だった校長式辞です~

今年度入学式当日お話しする予定だった学校長式辞です~


『昨日4月7日、中等部入学式当日でした。本来であれば私の式辞がありました。ここに式辞を発表させていただきます。なお、この式辞により入学式を実施したことになるわけではないことを申し添えておきたいと思います。』

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今日のよき日に、多くのご来賓、並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、厚く御礼申し上げます。校長の江川昭夫と申します。

本日、入学を許可されました中等部194名の新入生、保護者の皆様、ご入学、誠におめでとうございます。

森村学園は、今年創立110周年を迎えます。私たち教職員は、時にはみなさんの背中を押し、時には併走しながら、共に成長していきたいと思っています。どうか、安心して森村学園の学校生活を送って欲しいと思っています。

今、新型コロナウィルス感染症の拡大により、日本はもちろん、世界中が揺れています。感染を防ぐために海外からの入国制限をする国もどんどん増えています。世界の人たちが各国を行き来して経済を活性化させてきたのに、それが、たった2、3か月で世界中の国が鎖国のような状態になっています。ただ鎖国と違うのは、情報はインターネットを通じて世界中に流れており、私たちは自由に情報を受け取り、また発信することもできるということです。物理的には行き来できなくとも、協力し合える世界になっている。そのことは忘れてはならないと思います。

今日入学された皆さんに私たちが期待することは、世界の人たちと手を取り合いながら、より良い社会を創っていく人となってほしいということです。
そのために、大切なことが3つあります。

1つ目は「英語の力」。
2つ目は「たくましさ」。
最後の3つ目は「寛容の心」。

「寛容」とは、心を広く持って人の言葉や行動を受け入れることです。世界には様々な文化や価値観があります。自分の価値観とは違うからと、他の国や人々の価値観を踏みにじるようなことがあってはなりません。

皆さんは、今日から中学生になりました。なので、まずはこの「寛容」の心を知ってください。自分と同級生たちが、育った環境も価値観も違う人だということを認め、それを否定することなく受け入れてください。それが、グローバル社会に生きていく皆さんの、大人への第1歩だからです。

保護者の皆様、森村学園では、これからの世界で生き抜く力を身につけてもらうため、さまざまな取組みを実施してまいります。これらはご家庭のご理解とご協力なくしては成り立ちません。教職員一同、精一杯、お子様の指導にあたり、努力いたします。何卒、ご理解・ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。6年後、「この学園を選んでよかった」と言っていただける学園であるよう、誠心誠意、努めさせていただきます。

終わりに、新入生のみなさんの充実した学園生活を願って、式辞といたします。
新入生のみなさん、保護者のみなさま、ご入学、誠におめでとうございます。

Dsc_4119中等部・高等部 校長 江川昭夫

2020年4月 6日 (月)

【第15回】 「この間、今、皆さんに伝えたいこと(その5)」~ICTを活用した授業を始めます~

新型コロナウィルスが猛威を振るい、全世界での感染者数が日に日に増えています。刻一刻と状況が変わる中で、生徒の皆さんは不安を抱えながら日々生活をしていることと思います。

生命が誕生して、今日まで生き残った生き物は、体が大きく、力の強いものではありません。頭がいいものでもありません。各時代の変化に対応できた生き物です。【第13回】 「この間、今、皆さんに伝えたいこと(その3)の最後に伝えたメッセージは、「今回の、この予想すらしなかったこの局面は、どんな時でも柔軟に対応できる学校となるために天から与えられた試練の機会と考えています。」でした。
「今、私たち森村学園でできることは、何でしょうか。」

2020年1月に発行された、森村学園の今とこれからを伝える広報誌Miraiの森Vol.2 Jan.2020では、今年度からの導入についてお伝えしています。

https://www.morimura.ac.jp/_pdf/introduction/pamphlet/mirainomori_vol2.pdf


2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が「デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)」を提唱しました。彼は「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義しています。森村学園では、ここに教育(共育)を融合し教育デジタルトランスフォーメーションという考え方をもっと導入し、その実現を促進させたいと考えました。

具体的に、中等部・高等部は、ICTを活用した授業やHRを始めます。Microsoft office365やe-pa等を活用し、オンライン授業やHR、課題の配布提出などを行います。私達教員もオンラインで行う授業は初めての経験です。正直、未知な部分が多く、大いに不安を感じていることも事実です。ただ、何も行動せずにじっとしていることより、オンライン授業を行ってみることの方が価値はあるのではないでしょうか。生徒の皆さんと先生方で手に手を取り合って今までの森村の強みを活かし、新しい授業を共に作っていきましょう。その先に「森村学園未来志向型教育」と“Future Ready Skill”(21世紀の社会人素養)」である課題解決力の基礎となる「議論しあう力」、「共同しあう力」、「疑問を逃がさない力」、「創造性」、「好奇心」、「プログラミング的思考」が身につくものと信じています。

Photo_5WEB会議始まる!

中等部・高等部 校長 江川昭夫

2020年4月 2日 (木)

【第14回】 「この間、今、皆さんに伝えたいこと(その4)」~感染症に勝つために~

新年度を迎えました。

例年ですと、入学式と1学期の始業式を迎え、学園は一気に活気づく時期です。しかし申し上げるまでもなく、世界と日本はたいへんな状況を迎えています。まずは、生徒と教職員の皆さん、そして皆さんの家族の方々の健康を何よりも最優先して、学園としては行動していきたいと考えています。

新しく森村の仲間となる新中1の皆さんにも、学園生活のスタートを少し待っていただくことになります。勉強のことなど、心配や不安も多いことか、と思います。どうか、落ち着いてその日を待っていて下さい。

さて、日本赤十字社のサイトに「新型コロナウィルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」という記事がアップされていました。
ぜひ皆さんに読んでいただきたいと思います。

http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200326_006124.html

この記事によると、3つの顔とは、「病気」「不安」「差別」を指します。
新型コロナに用心することに少し疲れてきた今、読んでみると、たいへんうなずけることばかりです。

まず用心しなければならないのは、「病気」である新型コロナウィルスそのものです。
しかし、そのウィルスは目に見えませんし、感染しても発症に時間がかかるということから、私たちは「不安」に思います。不安情報を口にしてみたり、SNSで発信や拡散をすることで、今度はその不安が伝染します。

やがてそれは、人への「差別」を生んでいきます。すでに、新型コロナ差別といった表現でニュースにもなっているようです。皆さんも目にしたり、聞いたりしたことがあるかと思います。差別されるのが怖くて、症状が出ても、そのことを知らせることができない、といったことになれば、ウィルスはさらに拡散し、最悪の連鎖を生みます。

感染症に勝つためには、最新の確かな情報を知り、そして手洗い、うがい、マスク、そして3密を避けることです。

それだけでなく、私たちの心も感染症に勝たなくてはなりません。不安や恐れは誰にでもあります。しかし、それに気がついたら、自分がすべきこと、またはすべきでない行動を考えてみましょう。自分のことを客観的に観察してみましょう。他人事ではなく、自分事としてとらえることにしましょう。

生徒の皆さんのご家族も、イレギュラーな事態に疲れがたまってくる頃かもしれません。周囲の方々に思いやりと敬意を持って、家庭生活を送ってください。

さて、初等部ホームページの「初等部だより」に、学園の春の様子が掲載されています。3月25日の記事の最後には動画もあり、鶯(ウグイス)も鳴いています。自然界のいつも通りの営みに、少しほっとした気持ちになります。

https://netty.lekumo.biz/morimura_el_event/

皆さん生徒と私たち教職員が満面の笑顔で再会できる日が一日も早く来ることを今日も祈っています。

中等部・高等部 校長 江川昭夫

2020年3月27日 (金)

【第13回】 「この間、今、皆さんに伝えたいこと(その3)」

3月25日の小池都知事の会見をご覧になった方も多いでしょう。

都知事は、新型コロナウィルス感染者の急増について、「感染爆発の重大局面」であるとし、まずは今週末の不要不急の外出を控え、そして3つの「密」、「換気の悪い密閉区間」「多くの人の密集する場所」「近距離での密接した会話」を避けるようにと呼びかけ、神奈川県の黒岩知事も同様の緊急メッセージを出しました。さらには、26日、東京・神奈川・埼玉・千葉・山梨の知事がTV会議で首都圏としての呼びかけに広がり、小池都知事は夜には安倍首相にも面会し、首相は「緊急事態宣言対策会議本部」招集へまで至っています。

自治体の長の呼びかけている”皆さん“というのは、もちろん子供も大人も含まれます。森村学園の生徒である皆さんも、もちろん教職員も、このことを肝に銘じて行動していただきたい内容です。感染は、自分一人の問題ではありません。感染を防ぐ行動をするということは、家族や友達へ、多への思いやりでもあるのです。他人事ではなく、自分事としてとらえることなのです。

さて、第3学期末の臨時休校から春休みに入り、長い休みが続いています。私が皆さんに期待することは、自分で生活をコントロールできるようになることです。中学生、高校生だったら、自分でプランニングできるはずです。森村学園の建学の精神は「独立自営」は「どんな困難な状況でも自分で考えて課題を解決でき、自らの道を切り拓く」というものです。休みなのに外出が難しい、部活動もできない今だからこそ、具体的に出来ることはなんだろうと考えてもらいたいのです。読書でしょうか。家族の手伝いでしょうか。人ごみを避けて静かなところを散歩することを習慣にしてみてもいいかもしれません。森村生の知性と理性に期待しています。

世界的ベストセラーとなった「サピエンス全史」の著者、歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏が、新型コロナウィルス”についてTIME誌に寄稿した記事が翻訳されています。

http://web.kawade.co.jp/bungei/3455/

同氏は、この新型コロナウィルスの大流行をグローバル化のせいとすることに警鐘を鳴らし、分離でなく協力が人々を救うのだと呼びかけています。ハラル氏の歴史学者的な視点は、この状況を整理し、客観視する助けになるかもしれません。

Photo_2河出書房新社より

さて、森村学園の新しい1年が間もなく始まります。新入生たちが少しの不安と大きな期待を胸に入学してきます。森村学園は、生徒の皆さんと教職員が力を合わせて、もっともっと良い学校していきたいと思っています。今回の、この予想すらしなかったこの局面は、どんな時でも柔軟に対応できる学校となるために天から与えられた試練の機会と考えています。

みんなで力を合わせて、乗り切りましょう!

中等部・高等部 校長 江川昭夫

2020年3月20日 (金)

【第12回】 「在校生、そして卒業生の皆さんへ」~合言葉を胸に~

3月19日に中等部3年生、20日に高等部3年生の卒業証書授与式が行われました。これで1年間のすべての行事が終了し、学園の1年も終わりました。

今年度も様々な行事や出来事がありました。春の体育祭、夏休みに多くの生徒が参加した海外留学や研修、快晴に恵まれたみずき祭、1月には高等部3年生のセンター試験「出陣式」、そして2月には、年度最後の行事、中等部の合唱コンクールがありました。

合唱コンクールは、1年、2年、3年と学年順に舞台に登場しました。1年生は、舞台に飲まれないよう一生懸命です。2年生は2回目ということで慣れてきて、声も出るようになります。3年生になると、歌に気持ちを乗せられるようになります。そんな皆さんの成長ぶりが私の耳を楽しませてくれました。

開会の辞では、中等部1年の稲岡さんが「私は練習の時、クラスが団結協力しないと良い合唱ができないということを学びました」と。また、閉会の辞では、中等部3年の岸本くんが「合唱コンの練習で、クラスで過ごせた時間は大切な時間でした。もっとみんなでまとまっていたら、もっといい思い出になったと少し後悔しています。だから、1、2年生は今日経験し、感じたことを活かしてさらに成長して前進できるよう、がんばってください」というスピーチが印象的でした。

生徒の皆さんは、全員が合唱コンクールの経験者です。だから、この二人の言葉、「クラスが団結協力しないと良い合唱ができない」「もっとみんなでまとまっていたら、もっといい思い出になったのに」という言葉の意味が、とても腑に落ちることと思います。

「行事は人をつくる」のです。皆さんはこの1年間、体育祭やみずき祭、合唱コンクールなどの行事や部活動や各種の資格試験や定期試験なども行事と考え、それらを通じて、成果が出たこと、楽しかったこと、いろんな葛藤や課題を感じたこともあったでしょう。そして方法や対策を考え、次の行動を起こす。そんな試行錯誤を積み重ねていくことが大事なのです。それが、みんなで成長するということなのです。どんな状況でも自ら課題を発見し解決していく訓練の場でもあるのです。

さて、新型コロナウィルスの感染が拡大し、学園のスケジュールは、突然大きな変更を強いられました。生徒の皆さんは、2月29日以降の臨時休校以降、学校に登校できなくなりました。期末試験も中止になるという異例の事態となりました。

特に卒業をひかえた高等部3生と中等部3生は、残り少ない友達や先生たちとの最後の学校生活が突然断たれてしまいました。皆さんの健康を第一として配慮した結果とはいえ、とても残念なことでした。

そんな中、高等部卒業証書授与式では、保護者の方々にも皆さんの巣立つ姿を見ていただくことができました。例年とは異なり簡略化した形とはなりましたが、私達教職員は、成長した皆さんの姿を見て、たいへん嬉しく誇らしく思いました。保護者の方々もそう思われたに違いありません。

中等部3年生の皆さんは、義務教育を修了しました。中等部までの教育は義務として受ける教育でした。これから皆さんが受ける高等部での教育は、皆さん1人ひとりの意志で受ける教育です。高等部の3年間は、自分の進路を決定する大事な時間となります。

3年前の春に、皆さんは森村学園中等部に入学してきました。皆さんは3年前のその不安と期待の入り混じった気持ちを覚えているでしょうか。中等部の生活を悔いなく楽しく過ごせたでしょうか。

もし何か悔いがあったとしても、ここで今一度、この3年間を振り返って、次の高等部での目標や自分への期待を定めてほしいです。高等部入学までの時間を、自らの「未来」を思い描くために使ってほしいと思います。卒業は、新たな挑戦のはじまりです。引き続き、一緒に頑張っていきましょう。

高等部3年生の皆さんは、森村学園中等部高等部での6年間の学園生活では、楽しかったこと、苦しかったこと、さまざまな場面を思い出すことができると思います。そんなとき、皆さんの傍(そば)にはいつも友達、先生がいて、そして、ご家族がいらしたことでしょう。皆さんは、6年間の間に、たくましく、人間的にも成長しました。そのような皆さんに、私は大いに敬意を表したいと思います。

4月になれば、皆さんは新たな門出を迎え、大学などに進学して、本当に興味のあることに打ち込むことになります。高校までは、与えられた勉強をこなしていけば、自然と成績も向上したはずです。しかし、これからの「学び」は、自分自身の強い意志と適切な選択によって取り組むものです。「学び」から得られる本当の「学問」の楽しみ、喜びはここからはじまります。そして、その礎(いしずえ)はこれまでの森村での生活によって培(つちか)われたものであることに自信を持ってください。安心して学びの門を叩き、生涯学び続けられる人となって欲しいと思います。

現代は、予測不能な時代などと言われます。グローバル社会の到来で、より複雑で変化の激しい時代に進んでいます。皆さんが社会に出て選んだ仕事がそのまま一生続けられる仕事なのかわかりませんし、会社に入ってもその会社がずっと存続するのかもわからない。

そんな時代であるからこそ、卒業しても、森村学園の建学の精神「独立自営」を常に頭の隅に置いてほしいのです。「独立自営」とは、「人徳を備え、自らの力で人生を切り拓き、世界の力、社会の力となる」、すなわち、「どんな時代であっても自分自身の力で立てる人であれ」ということです。皆さんには、自らの「未来」をいつも考えて、挑戦していって欲しいと思います。

今、日本において最も求められているのは、グローバル社会の舵取りを行うリーダーです。森村学園でしっかりと学んだ皆さんが、いつしか世界のリーダーとして活躍する日が来ることを心から願って止みません。多様な価値観を尊重し合い、奪い合うのではなく、与え合うことができる人になっていただきたいと、心から願っています。これからも、校訓「正直・親切・勤勉」を合言葉に、これからももっと幸せで愛に満ちた人生を過ごして欲しいものです。

森村学園を巣立つ皆さんの未来が、幸福で実り多いものとなるよう、心から願っています。
ご卒業、誠におめでとうございます。

中等部・高等部 校長 江川昭夫

2020年3月18日 (水)

【第11回】 「3月20日卒業証書授与式について」~どうか暖かくして、臨んでください~

今年度の森村学園高等部の卒業証書授与式につきましては、先に配信した通り、時間短縮、規模を縮小して実施することといたしました。

ほとんどの近隣他校が卒業式を中止あるいは生徒のみ参加としている中、森村学園全体としては、幼稚園・初等部・高等部とも、保護者の方々と一緒に巣立つ皆さんを教職員の祝福の中で門出を見届けたい、また保護者の方々に成長したお子様の姿を見ていただきたいという気持ちで決断いたしました。

現在、日本における新型コロナウィルス感染の状況は日々変化をしているとはいえ、まだまだ予断を許さない状況にあります。日本中が不安の日々を過ごしていると思います。

高等部の卒業生の皆さん及びご列席いただく保護者の方々には、先に学園より配信されました「新型コロナウィルス感染拡大予防に係る卒園式・卒業式の対応について」、中高等部から発信されました「学年末の予定―◎3月20日(金)高3卒業式」を最後までお読みいただき、全員が諸注意を厳守して下さい。

会場は窓を開けて換気を行いながら、式が進行します。皆さん、どうか暖かくして、臨んでください。

例年よりも規模縮小とはいえ、心を込めた思い出に残る式典となるよう、尽力いたします。

第102期卒業生の最高の思い出となるよう、ご協力を心よりお願い申し上げます。