校長メッセージ

2020年3月13日 (金)

【第10回】 「この間、今、皆さんに伝えたいこと(その2)」

2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災から、9年が経ちました。私も14時46分に黙とういたしました。そして、このとき東北の各地で鮮やかな虹が現れて、集まった遺族たちから感激の声があがったとのニュースを後から知り、心が少し暖かくなる思いがいたしました。


9年経った現在、避難指示区域が徐々に縮小され、また3月14日には震災と原発事故で不通になっていたJR常磐線が全面開通するという明るいニュースもありました。しかし、ようやく故郷に戻れる人がいる一方で、減りつつあるとはいえ、まだ約4万8000人もの避難生活者の方がいるとのことです。


皆さんの9年前は、現在の中1でしたら4才、高3でしたら9才くらいだと思います。年齢によって記憶の強さには差があるとは思いますが、当時は関東でも大きな地震が起き、多くの帰宅困難者が生まれました。私も当時の勤務先の学校の生徒たちを無事に帰宅させるまで、生きた心地がしなかったことを鮮烈に覚えています。


生徒の皆さんは毎日忙しく活動しており、日々のことに追われて10年近い前のことは遠い昔のような気持でいるかもしれません。しかし、年に1度のこの時期は、東日本大震災について意識をめぐらす機会でもあります。また、私たちは先々に生まれる人たちに、伝えていく義務もあるはずです。

郷土の先人の方たちは、子孫に地震や津波、洪水、噴火などの自然災害の状況や教訓を伝えるため、災害が起きた土地に文字を刻んだ碑を建てていました。それは自然災害伝承碑(しぜんさいがいでんしょうひ)と呼ばれています。


しかし、時間の経過とともに壊れてしまった碑、忘れられてしまった碑もあると聞きます。これらがきちんと伝承されていれば、あるいは東日本大震災の時に役立ったケースもあったかもしれません。ちなみに現在、国土地理院の「地理院地図」には、昨年の時点で372基の自然災害伝承碑が掲載されているとのことです。テクノロジーが発達した現代では、さらに進化した伝承方法が出てくるかもしれません。

思いがけないことが突然起こるという意味では、今回の新型肺炎も東日本大震災と同じく災害だと言えると思います。しかし、新型肺炎のような未知の病気の流行は、人間の叡智(えいち)と行動いかんで、結果が大きく異なってくる点に、大きな違いがあると私は思います。


現在、世界中の国に患者が出ています。しかし、その後の患者の増加の様子を見ると、各国の違いが見えてきます。


罹患しないための対策として最も有効なのは、手洗いやうがいと言われています。日本においては、もともと風邪をひいたらマスクをする文化、外出後は手を洗ったりうがいをしたりする習慣があったので、すんなり受け入れられています。そうした習慣がいつごろから始まったのかはわかりませんが、一説にはうがいは平安時代からという説もあります。皆さんも、ご家庭で、また幼稚園や小学校で手を洗いましょうと言われて育ってきたかと思います。私たちの身を助けるのは、意外にもこうした小さな習慣であったりするのです。

過去にも、未知の病気が発生したことは多々ありました。古くは天然痘から、ペスト、スペイン風邪、SARS。世界は、そして日本はそれらを乗り越えてきました。

新型肺炎に関しては、先は見えませんし、対処方法にしても正解は後から出てくるかもしれません。ただ、少しでも早く終息しようと、がんばって下さっている方々がいるのは間違いありません。

皆さんは、「正しく恐れる」という言葉を聞いたことがあるでしょう。東日本大震災の時によく使われ、そしてまた最近も使われています。この言葉は、戦前に活躍した、物理学者にして随筆の名手と言われた寺田寅彦の言葉から来ています。ただ、寺田寅彦のもともとの言葉は、「ものをこわがらなさ過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」であり、現在使われている「正しく恐れる」のニュアンスとは異なるものです。言葉が独り歩きして意味を変えたという一例でしょう。

今言われる「正しく恐れる」とは、より深い正しい情報や知識を知って、状況を理解して、対応するという意味として使われているかと思います。そういう意味で、皆さんにもどうか、未知の災害や病気に対しては正しく恐れ、自分の言動を客観視しつつ、「知性ある行動」をとって欲しいと思います。

森村学園の校訓「正直・親切・勤勉」のもとで日々学んでいる皆さんこそは、「知性ある行動」が可能な若者だと信じてやみません。

校長 江川昭夫

2020年3月 2日 (月)

【第9回】 「家庭学習日期間中の今、皆さんに伝えたいこと」

「家庭学習日期間中の今、皆さんに伝えたいこと」

森村学園中等部高等部の春休みまでのスケジュールを配信しました。新型肺炎感染症拡大防止という観点から、「3学期期末試験」の中止という苦渋の決断を行いました。

学校活動において、試験及び行事はとても大切なものです。しかし、何よりも大切なのは、生徒の皆さん、教職員の健康であることは言うまでもありません。

3学期期末試験は中止となりましたが、終業式、中等部卒業証書授与式、高等部卒業証書授与式につきましては、その意義を維持しつつ、少し規模を縮小して行う予定です。
なお、これは現時点(3月2日)での状況に基づく判断であり、今後の状況によっては、また新たな判断もあることを申し上げておきます。

現在、情報は毎日のように発信されており、中には誤情報が含まれていることもあります。皆さんにお願いしたいのは、テレビやSNSで配信される情報をうのみにすることなく、まずは最新かつ正確な情報を確認していただきたいということです。例えば、厚労省や新聞社の、以下のようなサイトです。


厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

『【随時更新】新型肺炎、今なにをすべきか~正しい情報で正しい行動を』(読売オンライン)

https://www.yomiuri.co.jp/topics/20200129-OYT8T50025/

ご存知の通り、森村学園の教育目標は「どんな状況でも自分で課題を発見し、解決する生徒の育成」です。今回は、これを再確認できる機会だと思って下さい。

生徒の皆さんは、「家庭学習日」によって、友達や先生方と一緒に学ぶ時間を奪われてしまいました。しかしこれは、言葉を変えれば、自分自身で学ばなければならない時間を与えられたということです。工夫して、知恵を絞って、そして担任の先生をはじめとした周囲に相談しつつ、自ら学ぶ力を養って下さい。また、家族の一員として家庭のお手伝いをするなど、有意義に過ごして下さい。


そして何よりも、皆さんの最優先事項は「新型肺炎に感染しない」ことです。そのためにも、手洗い、消毒、マスク、換気、大勢でいる時間の短縮等を常に意識して行動をして下さい。

私達教職員は、早期の終息を祈りつつ、知恵を絞って、この局面を乗り切っていく所存です。どうか保護者の皆様、生徒の皆さん、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

休校中のイタリア・ミラノの高校のドミニコ・スキラーチェ校長が、学校のホームページ上で生徒に発信したメッセージが話題になっています。
「休校の今、皆さんに伝えたいこと」
http://ml.asahi.com/p/000004c215/6015/body/pc.html (一部有料会員限定記事)

スキラーチェ校長は、19世紀にペストが流行した様子を描写した国民的文学作品「いいなづけ」を引用しています。また日本では、ノーベル賞作家アルベール・カミュの「ペスト」が各地で在庫切れとのニュースも目にしました。こうした本を読むことは、パニックになりそうなとき、社会の、そして自分の言動を客観視する助けになるでしょう。

スキラーチェ校長の最後の言葉と同じく、私も皆さんを「学校で待っています」。

校長 江川昭夫

 

2020年1月 8日 (水)

【第8回】 2020年は「次の『波』を作り始める年」です。

明けましておめでとうございます。校長の江川です。

まずは高等部3年生のみなさんに向け、メッセージをお送りします。センター試験、一般入試が目前に控えています。最後のひと踏ん張り、決して気を緩めず、万全の状態で試験日を迎えてください。

この一年、あるいは長い学園生活を通じて、みなさんは勉強に行事に常に真剣に取り組んできたことと思います。時には思うような結果がでず、不安になったこともあったでしょう。さまざまに悔しい思いをして、勉強自体が嫌いになったこともあったでしょう。

大変なことがあっても、つらいことがあっても、みなさんは逃げ出すことなく、今日の日を迎えました。そのことに、まずは胸を張ってください。みなさんが日々、積み重ねてきた努力は決して嘘をつきません。自信をもって試験日当日を迎えてください。

そして、いよいよ試験がはじまるというその直前、これまで支えてくれたご両親、先生、友達の顔をちらりと思い浮かべてください。きっと気分も落ち着いて、平常心で試験に臨むことができるでしょう。

この一年、みなさんの頑張りを目にしてきた私は何も心配していません。今日まで頑張れた自分を誇りに思い、そして新天地での頑張りに活かしてほしいと思います。

また、いわゆる秋入試で結果が出ているみなさんには、この3学期新たな目標を持って、臨んで欲しいと思います。4月からより良いスタートが切れるように、もう一段アップさせて置くことが必要だと思います。具体的には、すでに与えられている課題をただ取り組むだけでなく、なぜ、与えられているのか、を考えながら取り組むとか、また、英語検定試験の1月受験でもう一段上を目指してみるとか、だと思います。立ち止まらずに、進むことにしましょう。

中等部生、高等部1年、2年生の皆さんにとっては、短い3学期が終わればすぐに新年度がやってきます。2020年4月、新たな学年を迎えた皆さんを待っているのはおそらく更にバージョンアップされた「未来志向型教育」です。

ここからは、いつもより、長いメッセージになること、お許し下さい。

さて、2020年はどんな年でしょうか?干支(えと)は「庚子(かのえ・ね)」、「次の波を作り始める年」と言われています。特に、2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される記念の年です。ここでは東京オリンピック・パラリンピック競技についてではなく、干支に注目してみましょう。


「今年の干支は子年」という言い方をしますが、本来、干支は「十干(じっかん)」と「十二支(じゅうにし)」を組み合わせたものを指します。今年の十干は「庚(かのえ)」、十二支は「子(ね)」ですので、これら2つを組み合わせると、2020年の干支は「庚子」となります。


さて、「庚子」の年はどんな年になるのか。それがここでのテーマです。つまり、2020年がどんな年になるのか、干支をもとに考えたいと思います。


まずはこの「庚」と「子」の組み合わせの意味を考えます。
「庚」の「か」は「金」を意味します。次に「子」はどうでしょう。「水」を表します。2020年の干支は、「金」と「水」の組み合わせになるということです。「金から水が作られる」イメージです。この組み合わせを「相生(そうせい)」と言い、相生は相手を強める影響をもたらすことで、「相性」の語源とも言われています。「陰陽五行説」(古代中国で成立した自然哲学の基礎概念)においては「庚子」は「よい組み合わせ」と言えるのだそうです。


実は、ここ最近は相生の年というのがなかったようです。2020年より以前は、2014年の「甲午(きのえ・うま)」が相生だったので、それ以来で6年ぶりです。6年ぶりに干支の相生が良い年が来たのです。これは何か期待できそうです。前向きな気持ちで、2020年を迎えたと言っても過言ではないと思います。


「2020年はいい年です」と言われて、「よかった」と思わずに、「何がいいの?」「どうすればいい年になるの?」と考えてみることが大切だと思います。せっかく相生のいい年と言えそうなので、もう一歩踏み込んで考えてみると、「庚子」は「始まり」と「終わり」を意味するということになりそうなのです。


「子」は十二支の中では最初です。肝心なのは最初です。十二支の順番は植物に例えられます。「子」はまだ種。その中で芽が出始めようとしている時期なのです。生まれるような感じです。


それでは、2020年の十干「庚」はどうでしょう。これも植物の成長過程を表します。2020年の庚は「成長が終わった状態」です。去年まで植物は成長を続けてきました。どんなものでも終わりはやってきます。ずっと成長を続けるわけにはいかないのです。


「庚」はもうこれ以上は生長しない時期で、今後は枯れていくというタイミングです。庚は「金」という話をしましたが、季節で言えば金は秋を意味します。これから冬になっていくというわけです。寒いです。冷えますね。


さっきまでは明るい2020年のイメージだったのに…。「庚」は「成長の終わり」と聞くと不安になってしまいます。


しかし、これは循環ですから、そういう年を省くことはできません。将来の成長のために必要な時期です。そして、どんな年かがわかれば、それに合った行動もできますから。ただただ不安になるのではなく、理解しておけばどんな年も不安はないはずです。


「子」は始まる、でも「庚」は終わり。これは何となく反対のことを言っているようにも感じます。ところが、まさに日本の2020年を表しているようにも思えます。


2020年の日本と言えば、やっぱり東京オリンピック・パラリンピックです。東京オリンピック・パラリンピックの開催はけっこう前に決まっていましたよね。「お・も・て・な・し」が流行語になったのは2013年でした。そらから開催まで何年もかけていろんな準備がされてきた。これが終わるのが2020年です。


これが終わった時に世の中はどうなるのでしょう。まだよくわかりませんが、景気が悪くなるというように用心深い話も聞いたことがあります。東京オリンピック・パラリンピックが終わったら、いろんな喪失感があるような気もします。


しかし、そうは言っても、次のことを始めなければなりません。ただし、何かが見えているわけでもなく、それは種からのスタートです。


このように「終わり」と「始まり」がある2020年は、「庚子」の干支のイメージにピッタリなのです。


問題は、そこで私たちはどう生きるか、です。


もう1つ漢字の意味も、興味深いものがあります。これは安岡正篤先生の「干支の活学」という本が参考になります。2020年は令和2年ですが、この安岡先生は1つ前の「平成」という元号を考えたと言われている方です。

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~新装版 干支の活学 (安岡正篤人間学講話)~


その中で「子」は「増える」というような意味があると書かれています。子は動物で言えば、「ねずみ」。ねずみは繁殖力が高くて、どんどん増える。十二支の動物は後付けですが、意味では合っているところもあるようです。つまり、子には「増える」という意味があるようです。


「庚」はもともと「更」だと言われています。この「更」は次のような意味があります。かえる、かわる、あらためる、さらに、そのうえ、深まる、ふける…、「変更」「更改」「更新」…。


こういった漢字の意味も考えると、単純に2020年が「始まる」と「終わる」ではないような気がしてきます。


2020年の干支には「始まり」と「終わり」があって、さらに「増える」、そして「変わる」となるわけです。あるいは「あらためる」です。


計画をスタートしたという意味でも「子」が合っています。出発というよりも継続からの更新を意味するのかもしれません。


改めるといっても簡単ではありません。変更ですから。当然のことながら、反対意見もあると思います。


未来が見えないから不安だし、怖いということでしょう。結局、計画する段階では、結果は誰にもわかりません。


今やっていることが正しいのかどうかわからなくなるときがあります。不安や迷いとの戦いもあります。


そして、もうこれ以上やっても意味がないとか、もうあきらめて別の道を探った方がいいのではないかと思う時があると思います。


未来が見えないからこその不安があり、見えない未来を計画するのはやっぱり難しいものです。


2020年が単純に出発の年であるならば、別の道を新たに進み始めるのが正解なのかもしれません。でも、2020年「庚子」の年は、「スタート」ではなく、「改める」ことなのだと思います。過去を無視できません。改めるということは、これまでの経緯があって、そのうえで、さらに進めるということです。だからこそ、ゼロからのスタートでもないのです。


2020年は長い目で計画する年です。10年後の社会、2030年世の中はどうなっているでしょうか?大切なのはみなさん自身や私達自身がどう生きるかでしょう。森村学園は「未来志向型教育」を推進していきます。2020年、森村学園創立110周年を迎えます。その年が庚子の年、「海の波」のイメージです。


波は絶えず繰り返すわけで、1つの大きな波がやってきて、それが沖へ帰っていく。これが終わりを意味する「庚」です。一方で次の波がやってくる。これが「子」です。

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しかし、この次の波は、ただ来るのを待っていたらいいというものでもないような気がします。意識して自分で作り出す波でなければ、いけない気がします。


それが計画することなのではないでしょうか。つまり、2020年は、これまでを振り返りつつ、今後の道を計画する年だと思います。発展のための計画をたてる年です。


新しい波の始まりであり、今年や来年だけではなく、長い目で見て計画する長期計画のときなのです。


計画するには勇気も必要です。その過程には迷いや不安が出てくるでしょう。
最初に話しましたが、やっぱり「庚子」が相生という相性のいい組み合わせであることもあり、運も向いていると思います。


いくら完璧な計画を作っても頓挫することだってあるし、妨害されることもあります。そこには運がなければならない場面もあります。それなら、2020年の相生の年は悪くはないと思います。


そして、計画をするなら「子」の「増える」という要素も入れましょう。


計画にも色々あり、削減とか縮小みたいなネガティブな計画もあるかと思います。そうではなくて、ねずみ年なのですから、増えることを想定したり、好転したりするような楽観的なプラス思考の計画もあり、だと思います。その方が2020年は合っているのではないかと思います。だから、ごく前向きで明るい年なのです。


自分のやってきたこと改めるように、将来を見つめた計画を作る時期、それが2020年の「庚子」の年と言えるのではないでしょうか。


ただ、十二支の「子」はやっぱりまだ種の状態なのです。すぐに結果が出るわけではありません。芽が出て、膨らむわけです。


それでも「10年後に振り返ったら、2020年がその出発の年になっていた」それが望ましい2020年のあり方なのかもしれません。計画って難しいものです。簡単ではありません。夢ではなく、計画なのです。


一年はあっという間です。忙しいと言いながらただ時を過ごすと終わってしまいます。2020年は年末までかかってもいいから、これからの道筋を長期的に計画する年にしようではありませんか。そんな新年の誓いが浮かびました。


今年も良い年でありますように。
そして、2020東京オリンピック・パラリンピックも充分に楽しみましょう!

森村学園中等部・高等部 校長 江川昭夫

2019年12月21日 (土)

【第7回】 合言葉は「正直・親切・勤勉」(校訓)

第2学期 終業式 校長メッセージ (2019年12月21日)

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みなさん、おはようございます。

2学期の行事は9月の最初のPTA学園バザー、文化祭から始まりました。定期試験と位置付けられる中間試験、期末試験、各学年宿泊行事、部活動の発表の場としての試合や発表会、各種検定試験など「行事」と位置づけられるものがありました。

私たちにとって「行事」とはどんなんものでしょうか?私は、学校教育において、「行事が人をつくる」という教育理念が存在していると考えています。みなさんは行事を通して大きく成長していることと思います。時には失敗もあったかと思いますが、そんなときに手を差し伸べてくれた友達、先生のこと、そして困難をどう乗り越えたかということを胸に刻み、今年を締めくくってください。

ますますの多様性とグローバル人財の台頭は10年後の2030年の社会変化の中枢をなすものです。森村学園の建学の精神「独立自営」は、100年以上前にその社会変化を見据えていました。校訓「正直・親切・勤勉」は「人徳を備え、自らの力で人生を切り拓き、世界の力、社会の力となる人材の育成」の行動指針となっています。森村学園は未来志向型教育を提唱しています。その真髄とは「今後の社会で幸せに生きていって欲しい」という願いのもとにできています。校訓はみなさんが愛に満ちた社会を創ろうとするときの合言葉です。

 さて、元号が平成から令和に代わり、10月22日には即位礼正展の儀、11月10日には祝賀パレードが行われ、現在では一連の行事が終了したと宣言されています。海外の人々にはどのように映ったのでしょうか?

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 また、来年の夏の東京オリンピックに向けて、ある意味、あわただしく周辺が動いてきているように感じます。そのような中、本学園OGの水田光夏(みずたみか)さんがパラリンピック射撃代表に内定しました。種目は10mエアライフル伏射エアライフル男女混合(SH2クラス)です。10月にシドニーで行われた世界大会での選考で内定、11月9日千葉で行われた全日本選手権では初優勝を飾りました。難病が発症したのは中学二年生の時でした。本格的にエアライフルを始めたのは19歳の時で、同種目の強化指定選手としては最年少だそうです。開催当日、会場は朝霞の陸上自衛隊朝霞訓練場です。「標的射撃は動かないので、なかなかTV放映の映像に取り上げられにくいのですが、応援して欲しいです。そして、もっとパラ射撃を、みなさんに知ってもらいたいです。」横断幕も掲げ、応援することにしました。みなさんも、応援よろしくお願いします。

 

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一方、国際社会に目を向ければ、イギリスのEU離脱が本格的化、アメリカ大統領トランプ氏の弾劾裁判、TIME誌が選んだ今年の人と言われている16歳の環境活動家トゥーンベリさんの「大人を教育する必要がある。やらないことより、やっているふりをしていることに、もう待てない。」という発言等が象徴的な出来事だったのではないでしょうか?

(写真は米タイムズ紙より)

経済格差、貧困、移民問題など、グローバリズムの負の側面、すなわち、「内向きと不寛容さ」がさらにクローズアップされた一年だったと感じます。自国を守りつつ、他国にも手を差し伸べるためにはどうしたらいいのか、それを今後は全世界のみんなで真剣に考えていかなければならない時代にいよいよ突入したように感じます。

日本の教育界では、大学入試改革における、英語外部試験の活用、共通テストにおける国語・数学の記述式導入、二つとも見送られました。受験生を置き去りにした対応と言われています。私も教育界に身を置く人間です。このような混乱の中にみなさんを巻き込むことになるとは夢にも思っていませんでした。そして、得た確固たる教訓は「周りがどう動こうとも、やるべきことはしっかりやらなければならない」ということです。

 みなさんが社会に羽ばたくとき、世界はどのような様相を呈しているでしょうか?予想するのが難しいほどに目まぐるしく変化しつづける21世紀です。森村学園の校訓「正直・親切・勤勉」から学べる“愛”の精神は、必ずや世界の明るい灯となるはずです。

 健康に留意して、年明けの三学期始業式には元気にお会いましょう。

これで、2学期終業式の私の言葉とさせていただきます。
 
森村学園中等部・高等部 校長 江川昭夫

2019年10月29日 (火)

【第6回】 中3NZ修学旅行 105期のスローガンは "Once-in-a-lifetime Chance~一期一会(いちごいちえ)"に寄せて

みなさん、こんにちは。校長の江川です。
 
 今秋は台風をはじめとする水害に悩まされている日本列島と言って過言ではないと思います。災害に見舞われている方々がおられること、心痛みます。

 一方で、ラグビーワールドカップ日本開催、イングランド対ウェールズの決勝のみを残すところとなりました。ベスト8に入った日本チーム、オフロードパスの素晴らしさとONE TEAMとはなにか?を知らしめてくれました。それらは私達を勇気づけてくれました。
 日本時間10/27-11/2、中3生はNZ修学旅行(残念ながら、NZは今回のラグビーワールドカップ、ベスト4ですが)中です。「しおり」の彼等に向けたメッセージを紹介します。

40_3中3生はただいま異文化理解の真っただ中にいます。そんな中、話題はハロウィンではないでしょうか?ウィキペディアによると以下のとおりです。

「ハロウィン、あるいはハロウィーン(英: Halloween または Hallowe'en)とは、毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられている祭のこと。もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事であったが、現代では特にアメリカ合衆国で民間行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いはほとんどなくなっている。カボチャの中身をくりぬいて「ジャック・オー・ランタン」を作って飾ったり、子どもたちが魔女やお化けに仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする風習などがある。

6「ジャック・オー・ランタン」

https://ja.wikipedia.org/wiki/ハロウィン


 ハロウィン当日、昨年は渋谷をはじめとして、大混乱となりました。今年は今のところそのようなことがない、と聞いています。本来の意義をふまえたイベントになることを祈ります。

 横浜はインフルエンザの蔓延が早いとか、聞きます。健康には十分に留意して、有意義な学校生活を送ってくれることを期待しています。

森村学園中等部・高等部 校長 江川昭夫

2019年10月 1日 (火)

【第5回】 漫画家 さくらももこさんの「ぜんぶ」に寄せて

みなさん、こんにちは。校長の江川です。

年度の半分が終わりました。消費税も上がりました。

朝晩の寒暖の差は大きく体調に注意しなければならない季節になりました。

2学期当初、台風15号の襲来を受け、9月9日(月)は臨時休校となりました。千葉の方では被害甚大でいまだに自宅に戻れない、あるいは、家屋が復旧していないところもあるようです。一日も早い復興を願うのみです。

9月14日(土)、PTA主催のバザーがありました。お手伝いいただいた保護者の方々、ご協力、誠にありがとうございました。絶好のバザー日和となり、暑くなく、程よい気候の中で行われました。特に今年は中高等部生徒会の発案で、何年分もたまってしまった持ち主不明の忘れ物の傘を有効利用させていたき、募金をすると中古の傘を差し上げますという活動を実施しました。ご協力をお願いしたところ、100本以上の傘がはけました。中には募金だけをしてくださる方もおられました。最終的には5万3560円という大きな成果を日本ユニセフに寄付することができました。

9月22日(日)、23日(月)はみずき祭が開催されました、台風17号の日本上陸予想の中で、天候が危ぶまれる中で、その合間を抜って行われたといっても過言ではないと思います。22日の夜は天気予報の通り雨が降りましたが、朝には上がっていました。23日夕方風が強くなりましたので、テントのみ早めに片づけるようにしました。実行委員は実行委員長と各スタッフと生徒会執行部で構成され総勢30名です。24日(火)の職員ミーティングの時に全員がそろって、職員室で挨拶をしてくれました。みんなの顔は充実感にあふれていたと思います。私からも、「ご苦労様、Good morning.」と言わせてください。

学校教育の現場で「行事が人をつくる」ということが大切だと考えています。「行事」の中で必ずしも上手くいくことばかりではないはずです。むしろ、つらく、失敗することの方が多いと思います。どう、上手くいったのか、どう、乗り越えたのか、どんな人が手を差し伸べてくれたのか、などを心に刻んで欲しいのです。

23日、15:10‐15:30、合唱部の素晴らしい歌声を聞きました。曲目の中に「ぜんぶ」という曲がありました。

昨年8月15日に、漫画・アニメ「ちびまる子ちゃん」で知られる漫画家・さくらももこさんが亡くなりました。もう一周忌は過ぎました。

ぜんぶ
大切なことは
ぜんぶここにある。
泣くこと 笑うこと
怒ること 喜ぶこと
あたりまえの気持ちは
あたりまえのものとして
そのまま 今ここにある。
もうどこへも行かなくても
なんにもしなくても
どこへ行っても
何をしても
ぜんぶそのままだ。

                              引用元:集英社文庫

2003年に発表された詩集「まるむし帳」に収められている一遍です。作曲は相澤直人さんです。

https://www.youtube.com/watch?v=WLVXJbtigXY

合唱曲「ぜんぶ」(歌:hamoia ensemble)です。一度、聴いてみてください。 何か、心に沁み込むものがあります。

「大切なこと」ってなんでしょう?
すでに手元にあり、長所があったり、短所があったり、学ばなければならない所もあったり、「他者とのかかわり(=「行事が人をつくる」)の中で自分の中にある大切なものを見出す。」というようなことを私は頭に思い描きました。
あと、二週間で第二学期中間試験です。

勉強もわからないところは教え合い、クラス全体の成績向上を目指してください。

本学園の校訓は「正直 親切 勤勉」、建学の精神は「独立自営」」です。自分自身のことにままならない人もこの機会にこれらを再確認して日々の生活に臨んででもらいたいと思います。

気候の変化が激しい今日この頃です。体調管理には充分留意して下さい。

大事な私の仕事を忘れるところでした。
「発表します。令和元年度みずき祭の令和(校長)賞は、高校の部:「新体操部」、中学の部:「二十代目ソーラン節」でした。本当におめでとうございます。」

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森村学園中等部・高等部 校長 江川昭夫

2019年9月 2日 (月)

【第4回】地下鉄の車内や構内で「人をぶっちゃダメなんだよ。」を見かけますね。

みなさんこんにちは。校長の江川です。

長い夏休みも終わり、新たな学期のはじまりです。ここからみなさんの顔を眺めていると、1学期の終業式で「時間の支配者」についてお話ししたように、一人ひとりが自分のペースで充実した夏休みを過ごしてくれたでしょうことがよくわかります。2学期も気を引き締めて頑張りましょう。

昨年の夏に続き、九州地方を中心に豪雨に見舞われ、「災害級の」猛暑でたくさんの方々が亡くなられました。

そして、最近では、よく気象庁が発表する「かつてない最大級」と自然の猛威にたじろいでいる私たちです。
 
被災されている方々には一日も早い復興と亡くなられた方々にはここに謹んでお悔やみ申し上げます。

生徒のみなさんが、もし災害の当事者だったどうするか?考えて欲しいと思います。そして、考えたことを発信してみてください。

私だったらということで、お話ししたいと思います。

「まずは、心の中の勇気は失わずにいよう。なぜなら、苦難を乗り越えることで、自分自身がさらに強く、たくましくなる『未来』」がきっと待っているから。そして、どんな状況でも自分で考えて課題を解決するように考えてみよう。」

知識を集積し、偏差値を上げ、難関大学に合格することだけを目的にした学びは、これからの時代では通用しません。世界の諸問題の解決に向けた立案・討論といった豊かな学びを多感な中等部・高等部時代から経験することで、学園の建学の精神「独立自営」から「グローバル人財の育成:世界で働ける人になろう」の礎(いしづえ)を築いていくことになります。AIやロボットでは代用できない、直感、センス、コミュニケーション、発想、身体性などの能力を磨いていく、これは「未来志向型教育」の目的です。

さて、私鉄の車内や構内で「人をぶっちゃダメなんだよ。」と書かれたポスターを見かけるようになりました。これは「乗客同士、駅係員、乗務員への暴力行為が多発する中で考えられたキャッチコピーだと思います。

国際社会においても非暴力な社会でなくてはなりません。森村学園の校訓「正直、親切、勤勉」から考えても、当たり前のことです。世間では当たり前のことができない人がいるから、このような形でアピールしなければならなくなるのです。

9月22日・23日の『みずき祭』に向けて準備が進んでいます。文化祭という行事を通じて、生徒一人ひとりが「正直」に、お互いが「親切」で「勤勉」に、みんなでひとつ方向に向かって欲しいと思います。私は「行事が人をつくる」という考えを持っているということを第2回校長メッセージでもお伝えしました。行事は自分の意見だけでなく、他者の意見にもしっかりと耳を傾け、より良い道を模索するための最高のイベントです。自分の意見が通らないからといって肉体的暴力に訴えることは論外ですが、意見の異なる相手に対して精神的暴力(言葉の暴力など)を与えてはダメです。相手の意見を尊重しつつ、自分はなぜそのように考えるのかを、皆さんは論理的に相手に説明する力を備えているはずです。校訓「正直、親切、勤勉」、建学の精神「独立自営」を、生徒一人ひとりがこの『みずき祭』で実践してくれることを願い、そして見守っています。

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なお、この暴力防止行為ポスターは、(一社)日本民営鉄道協会様のご理解の下、私が本校HPのブログに掲載する許可を頂いています。このポスターは、鉄道係員に対する乗客からの暴力を未然に防止することを目的として作成されたものであります。本来のターゲットの多くは大人を想定したものです。他者と協調する言葉の力をさらに磨き、暴力に頼らずともよりよい社会を作っていく手本を、大人だけでなく、「未来志向型教育」の一環であると私は認識しております。生徒も含めて、もう一度見つめなおす機会にできればと考えました。ご参考までに、本ポスターに関するニュースリリースを記載いたします。
https://www.mintetsu.or.jp/association/news/2019/14595.html

森村学園中等部・高等部 校長 江川昭夫

2019年7月20日 (土)

【第3回】夏休みの過ごし方~「時間の支配者」になる~

みなさんこんにちは。校長の江川です。

私が、本校に赴任して、あっという間の1学期が過ぎました。
 
今年は、創立者森村市左衛門先生の没後100年の年にあたります。また来年は、学園創立110周年を迎えます。この節目の中、改めて創立者の建学の精神「独立自営」に立ち戻り、長きにわたる伝統に思いを馳せると同時に、未来志向型教育の更なる定着を目指し、「社会を変革することに貢献できる人間の育成」を推進していきたいと考えています。

さて、みなさんにとっては待ちに待った夏休みがはじまります。長い夏休みを、みなさんにどう過ごしてもらおうかな? と私なりに考えてみました。そこでこの夏休みに向けて、「時間の奴隷から支配者へ」というテーマでお話ししたいと思います。

さらに、これからお話しする内容はみなさんに配られる「夏に出会う2019森村学園 中・高等部」の第1ページに『夏に出会う「時間の奴隷から支配者へ」」という題名で書きました。是非とも、読んで下さい。

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『むかし、南の島のある酋長が、文明国を旅してきました。みやげ話を聞きに集まった人たちに、彼はこう言いました。
「彼らは、四六時中カチカチとなる丸いものを腕に巻き付けていて、それを見ている。それはたいへん恐ろしいものらしく、そこから命令らしいものが出ているようで、そのとおりに行動しているように見えた。」』

南の島の酋長は、時間に支配されている文明人の暮らしを皮肉ったというよりは、ほんとうに不可解な恐ろしさを感じたということです。

確かに私たちの暮らしは、時間によって成り立っています。朝は学校が始まる時間から逆算して起きますし、夜は見たいテレビ番組と相談のうえ、寝る時間を決めますよね。そうした時間に支配された生活は、行き過ぎるとかなり息苦しいものなります。

そんななか、夏休みは私たちに時間に支配された生活を抜け出すよい機会を与えてくれると思います。うるさく起こされもしないし、授業時間の始まりや終わりを告げるチャイムもありません。一日24時間という長い時間を、自分で割り振って使うことができます。

でも、時間の制約を受けないからといって、時間を上手く使えるというわけではなく、支配者になれたわけでもありません。時間をよりよく統治する能力に欠けた者は、結局は時間に復讐されることになるのです。
 
夏休みは「時間の支配者になれる」絶好の機会ではないでしょうか? 自分のペースで構いません。心の緩みには気をつけ、ほどよい緊張感のなかで、毎日勉強するようにしましょう。大事なのは、規則正しく、計画を立てて、コツコツやるということです。はじめこそ張り切って、毎日8時間勉強しても、途中で辛くなって投げ出してしまったら意味がありません。それならば、毎日1時間を1ヶ月つづけるほうが、長い目で見れば確かな力となります。習慣として身についたものは、夏休みが終わっても継続することができるからです。

この夏休み、「時間の支配者」となって、みなさんには「しなやかな“しつこさ”」を身につけてほしいと思います。

本校の校訓は「正直・親切・勤勉」です。 校訓は、成功への一番の、そして唯一の近道となる合言葉です。「しなやかな“しつこさ”」で頑張るみなさんには、きっと未来が待っていると思います。

どんな夏になるのでしょうか?2学期には元気な姿で再会しましょう。

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森村学園中等部・高等部 校長 江川昭夫

2019年6月17日 (月)

【第2回】みずき祭のテーマが決まりました

2019年度みずき祭のテーマは『おはようございます。』です。

私はこの4月に校長として赴任しました。ですから、「今までの『みずき祭』とはどのようなものだったのだろうか?」と想像してみました。いや、先入観はいけません。新たな目で見ることが大切!と思いました。そうだ、このテーマはある意味、今までのものから、『おはよう!』と目覚め、今までにない企画、団体などが繰り広げられるのではないかと・・・

9月22日(日)、23日(月:秋分の日)の二日間、みずき祭が開催されます。9月上旬にはPTA主催のバザーも行われます。9月はある意味、文化的行事一色になる中で、学園全体が新鮮さのあふれる『みずき祭』に感じられる色々なパフォーマンスが繰り広げられると思います。ご期待いただき、お楽しみいただければ幸いです。

生徒のみなさんにはクラスや学年の壁を越え、テーマである『おはようございます。』に心を込め、みなさんが盛んに活動を展開する場として、すばらしい『みずき際』を作り上げて欲しいと思います。

みなさんに取り組んで欲しいことがあります。それは、Portfolio(ポートフォリオ:活動報告書)の作成に積極的に挑戦することです。文化祭が終わるとそれぞれの団体で「振り返り」を行い、翌年の文化祭に向けて「課題設定」していることと思います。そのプロセスをPortfolioに記録してみて欲しいのです。

『みずき祭』という行事を通じて、生徒一人ひとりが「正直」に、お互いが「親切」で「勤勉」に、みんなでひとつ方向に向かって欲しいと思います。私は「行事が人をつくる」という考えを持っています。行事は自分の意見だけでなく、他者の意見にもしっかりと耳を傾け、より良い道を模索するための最高のイベントです。本学園の校訓「正直、親切、勤勉」、校訓「独立自営」を、生徒一人ひとりがこの『みずき祭』で実践してくれることを願い、そして見守っています。

保護者の皆様にも、生徒たちの成長を私たちと共に見守っていただきたく存じます。そして限られた時間の中ですが、『おはようございます。』のテーマで作り上げられる『みずき祭』が盛会となりますようにご協力を心よりお願い申し上げます。

森村学園中等部・高等部

校長 江川昭夫

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(全校生徒で盛り上がった「オープニングセレモニー」:昨年度)

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(中等部生有志による森村伝統の「ソーラン節」:昨年度)

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(高等部3年生美術選択者によるガレリア内の装飾:昨年度)

2019年5月16日 (木)

【第1回】勤勉とシラバス

みなさん、こんにちは。校長の江川です。

私が、本校に赴任して、一か月半が過ぎようとしています。 
今後、一か月に一度位のペースで、私からのメッセージを送ることにします。

一回目は、みんなさんに配布された「2019 Syllabus 授業要項 Morimura Gakuen」の巻頭のところで「勤勉とシラバス」という題名で書いている内容についてです。再度、この「2019 Syllabus 授業要項 Morimura Gakuen」の使い方を確認して下さい。『いつも傍らに置いて、学びの進捗状況を確認できるものです。先に進んだり、戻ったり、自らが「学び自立」のために、利用して欲しいものです。』ぼろぼろになるまで、利用して欲しいです。

保護者のみなさま、ぜひ、本人に「2019 Syllabus 授業要項 Morimura Gakuen」を食卓に持って来させて、巻頭の私のページを一緒に読んで、お子様と共有していただければ、教職員一同、この上もなく、うれしい限りです。

森村学園 中等部・高等部 校長 江川昭夫


<勤勉とシラバス>

『校訓―行動指針―「勤勉」:人の力は無限に進む。学び続ける人となれ。』
とあります。さらには「学ぶことの喜びを知り、真理を求め続ける強い力を持つ。」そして「学びを生かし、自らの夢と幸せな社会の実現を目指す。」とあります。

この「行動指針」と「シラバス(Syllabus)」の関係について考えてみましょう。
 
シラバス(Syllabus)について、『ウィキぺディア』での記述を調べてみました。
 「日本では教師が学生に示す講義・授業の授業計画のこと。米国では、各回講義内容から教員連絡方法まで、個別講義の受講に関して必要なすべてを盛り込んだメモのこと。」
 「この言葉は、米国で慣用され、近年、日本の学校でも流行しているが、ヨーロッパの学校ではあまり用いられていない。米国の学校においては、個々の講座の独立性が強く、教員も外部からの人材が多いために、シラバスは講座の教育方針や教員の連絡方法その他の情報を含んでおり、学生にとっては不可欠なものである。教員の多くが学校に所属し、学校としての統一的な教育方針が求められる日本では、シラバスはもっぱら授業計画の同義語となっている。主に、児童・生徒・学生・進学希望者、及びその保護者らに、講義・授業の内容、授業計画を周知させる目的で作成される。」
「高等学校・中学校のシラバスの主な内容は、科目名や習得単位数、年間の授業時間数、使用する教科書、学習の到達目標、各学期及び期間ごとに行われる各単元の大まかな内容、どのような観点や方法で評価を行うか、などである。」
「シラバスを作成する利点は、
■学習の流れを生徒が理解し、円滑に授業を受けられる
■指導者にとっても、生徒に対して円滑に指導を進められることなどが挙げられる。」
 
シラバスは本学園の行動指針の具現化の一助になるものと思っています。私たちの「自ら学ぶ」という自立の手助けとなります。自らの夢と幸せな社会の実現を目指す、助けにもなっています。いつも傍らに置いて、学びの進捗状況を確認できるものです。先に進んだり、戻ったり、自らが「学びの自立」のために利用して欲しいものです。
 物事をやり遂げるには、長期ビジョンと短期ビジョンが必要です。
学びの長期ビジョンとして年間指導計画が提示され、短期ビジョンとしては自らの学びがあります。自分で調整ができるのです。
 いつも自分の傍に置いて、シラバスと相談しながら、自らの学びの進度を確認できます。今まで、そんな風に利用していたでしょうか?
 学習は多くの教科、科目に及びます。得意不得意もあるかと思います。それらをバランスよく進めることも大切です。シラバスの内容についても担当の教員と相談して下さい。
「利用できるものは何でも利用して、自らのものにする。」この考え方は、今の世の中、大切だと思います。
 学びは自分だけでできるものではありません。友達、先生と協働して、自立を目指して学んでいって欲しいものです。