【第3回】夏休みの過ごし方~「時間の支配者」になる~
みなさんこんにちは。校長の江川です。
私が、本校に赴任して、あっという間の1学期が過ぎました。
今年は、創立者森村市左衛門先生の没後100年の年にあたります。また来年は、学園創立110周年を迎えます。この節目の中、改めて創立者の建学の精神「独立自営」に立ち戻り、長きにわたる伝統に思いを馳せると同時に、未来志向型教育の更なる定着を目指し、「社会を変革することに貢献できる人間の育成」を推進していきたいと考えています。
さて、みなさんにとっては待ちに待った夏休みがはじまります。長い夏休みを、みなさんにどう過ごしてもらおうかな? と私なりに考えてみました。そこでこの夏休みに向けて、「時間の奴隷から支配者へ」というテーマでお話ししたいと思います。
さらに、これからお話しする内容はみなさんに配られる「夏に出会う2019森村学園 中・高等部」の第1ページに『夏に出会う「時間の奴隷から支配者へ」」という題名で書きました。是非とも、読んで下さい。
『むかし、南の島のある酋長が、文明国を旅してきました。みやげ話を聞きに集まった人たちに、彼はこう言いました。
「彼らは、四六時中カチカチとなる丸いものを腕に巻き付けていて、それを見ている。それはたいへん恐ろしいものらしく、そこから命令らしいものが出ているようで、そのとおりに行動しているように見えた。」』
南の島の酋長は、時間に支配されている文明人の暮らしを皮肉ったというよりは、ほんとうに不可解な恐ろしさを感じたということです。
確かに私たちの暮らしは、時間によって成り立っています。朝は学校が始まる時間から逆算して起きますし、夜は見たいテレビ番組と相談のうえ、寝る時間を決めますよね。そうした時間に支配された生活は、行き過ぎるとかなり息苦しいものなります。
そんななか、夏休みは私たちに時間に支配された生活を抜け出すよい機会を与えてくれると思います。うるさく起こされもしないし、授業時間の始まりや終わりを告げるチャイムもありません。一日24時間という長い時間を、自分で割り振って使うことができます。
でも、時間の制約を受けないからといって、時間を上手く使えるというわけではなく、支配者になれたわけでもありません。時間をよりよく統治する能力に欠けた者は、結局は時間に復讐されることになるのです。
夏休みは「時間の支配者になれる」絶好の機会ではないでしょうか? 自分のペースで構いません。心の緩みには気をつけ、ほどよい緊張感のなかで、毎日勉強するようにしましょう。大事なのは、規則正しく、計画を立てて、コツコツやるということです。はじめこそ張り切って、毎日8時間勉強しても、途中で辛くなって投げ出してしまったら意味がありません。それならば、毎日1時間を1ヶ月つづけるほうが、長い目で見れば確かな力となります。習慣として身についたものは、夏休みが終わっても継続することができるからです。
この夏休み、「時間の支配者」となって、みなさんには「しなやかな“しつこさ”」を身につけてほしいと思います。
本校の校訓は「正直・親切・勤勉」です。 校訓は、成功への一番の、そして唯一の近道となる合言葉です。「しなやかな“しつこさ”」で頑張るみなさんには、きっと未来が待っていると思います。
どんな夏になるのでしょうか?2学期には元気な姿で再会しましょう。
森村学園中等部・高等部 校長 江川昭夫