【第7回】 合言葉は「正直・親切・勤勉」(校訓)
第2学期 終業式 校長メッセージ (2019年12月21日)
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みなさん、おはようございます。
2学期の行事は9月の最初のPTA学園バザー、文化祭から始まりました。定期試験と位置付けられる中間試験、期末試験、各学年宿泊行事、部活動の発表の場としての試合や発表会、各種検定試験など「行事」と位置づけられるものがありました。
私たちにとって「行事」とはどんなんものでしょうか?私は、学校教育において、「行事が人をつくる」という教育理念が存在していると考えています。みなさんは行事を通して大きく成長していることと思います。時には失敗もあったかと思いますが、そんなときに手を差し伸べてくれた友達、先生のこと、そして困難をどう乗り越えたかということを胸に刻み、今年を締めくくってください。
ますますの多様性とグローバル人財の台頭は10年後の2030年の社会変化の中枢をなすものです。森村学園の建学の精神「独立自営」は、100年以上前にその社会変化を見据えていました。校訓「正直・親切・勤勉」は「人徳を備え、自らの力で人生を切り拓き、世界の力、社会の力となる人材の育成」の行動指針となっています。森村学園は未来志向型教育を提唱しています。その真髄とは「今後の社会で幸せに生きていって欲しい」という願いのもとにできています。校訓はみなさんが愛に満ちた社会を創ろうとするときの合言葉です。
さて、元号が平成から令和に代わり、10月22日には即位礼正展の儀、11月10日には祝賀パレードが行われ、現在では一連の行事が終了したと宣言されています。海外の人々にはどのように映ったのでしょうか?
また、来年の夏の東京オリンピックに向けて、ある意味、あわただしく周辺が動いてきているように感じます。そのような中、本学園OGの水田光夏(みずたみか)さんがパラリンピック射撃代表に内定しました。種目は10mエアライフル伏射エアライフル男女混合(SH2クラス)です。10月にシドニーで行われた世界大会での選考で内定、11月9日千葉で行われた全日本選手権では初優勝を飾りました。難病が発症したのは中学二年生の時でした。本格的にエアライフルを始めたのは19歳の時で、同種目の強化指定選手としては最年少だそうです。開催当日、会場は朝霞の陸上自衛隊朝霞訓練場です。「標的射撃は動かないので、なかなかTV放映の映像に取り上げられにくいのですが、応援して欲しいです。そして、もっとパラ射撃を、みなさんに知ってもらいたいです。」横断幕も掲げ、応援することにしました。みなさんも、応援よろしくお願いします。
一方、国際社会に目を向ければ、イギリスのEU離脱が本格的化、アメリカ大統領トランプ氏の弾劾裁判、TIME誌が選んだ今年の人と言われている16歳の環境活動家トゥーンベリさんの「大人を教育する必要がある。やらないことより、やっているふりをしていることに、もう待てない。」という発言等が象徴的な出来事だったのではないでしょうか?
(写真は米タイムズ紙より)
経済格差、貧困、移民問題など、グローバリズムの負の側面、すなわち、「内向きと不寛容さ」がさらにクローズアップされた一年だったと感じます。自国を守りつつ、他国にも手を差し伸べるためにはどうしたらいいのか、それを今後は全世界のみんなで真剣に考えていかなければならない時代にいよいよ突入したように感じます。
日本の教育界では、大学入試改革における、英語外部試験の活用、共通テストにおける国語・数学の記述式導入、二つとも見送られました。受験生を置き去りにした対応と言われています。私も教育界に身を置く人間です。このような混乱の中にみなさんを巻き込むことになるとは夢にも思っていませんでした。そして、得た確固たる教訓は「周りがどう動こうとも、やるべきことはしっかりやらなければならない」ということです。
みなさんが社会に羽ばたくとき、世界はどのような様相を呈しているでしょうか?予想するのが難しいほどに目まぐるしく変化しつづける21世紀です。森村学園の校訓「正直・親切・勤勉」から学べる“愛”の精神は、必ずや世界の明るい灯となるはずです。
健康に留意して、年明けの三学期始業式には元気にお会いましょう。
これで、2学期終業式の私の言葉とさせていただきます。
森村学園中等部・高等部 校長 江川昭夫